(6)ハクビシン

中国では食用とされ、SARS(重症急性呼吸器症候群)伝染の媒体になるとして、食用流通が禁止されたハクビシンは我が家の「招かざる客」です。
 ハクビシンは10年ほど前から「果樹園や畑の作物を食べ荒らす」と部落(ムラ)で噂されるようになり、我が家にも5年ほど前から畑のトウモロコシを盗み食いに来るようになりました。カラスやタヌキに比べたらささやかな悪戯ですが。
 「トウモロコシの被害はハクビシン」と断定していますが、ハクビシンは夜行性で私はまだ実物を見たことがありません。畑に残された足跡と、ムラの噂話から畑を悪戯するのはハクビシンだろうと推測しています。
 数年前、ハクビシンによるトウモロコシの食害(カラスに比べて一度の被害が大きいです)にいきり立った私は、ハクビシンに闘いを挑む決意を固めました。
 「決意を固めた」とは言え、ハクビシンは木登りが巧く、タヌキのように「通り道」を作りません。カラス防御の為の釣り糸も何のその。(カラスは見えにくい釣り糸が羽に触れると恐怖に陥ち、1ヶ月ほど悪さを控えるようになります)ハクビシンの進入防止のために畑を全面網で覆うわけにも行きません。決定的なハクビシン対策は思い浮かば無くて、悶々の1年。
 翌年、トウモロコシの植え付けの季節になり困り果てた私は(自給用のトウモロコシです。ハクビシンとの闘いを「楽しんだ」と言う方が近いです)、ハクビシンの頭の良さ、動物が持っている「知恵」に賭け、利用してみることにしました。
 ハクビシンの進入は畑の「山側から」と言うことは足跡からも分かっていました。ここからはハクビシンと人間様の知恵比べです。
トウモロコシを山側の反対から半月おきに3回に分けて植え付け、山側が一番最後に熟すように植え付けしました。
 季節は夏、ハクビシンが我が家のトウモロコシを食べに来たようです。しかしまだ早すぎる(熟していない)為に引き返した足跡が畑に「クッキリ」残っています。 ハクビシンの足跡を見つけ、トウモロコシの被害が無かったのを確認して「勝った」と大喜びをしました。その後も何回かハクビシンは我が家の畑にトウモロコシを食べに来たようですが、その都度熟していないために帰って行きました。
 あと1−2歩前のトウモロコシの列まで進めば、美味しく熟したトウモロコシがあるのですが。不思議ですがハクビシンにはその様な知能も、鼻もないようです。
ちょっと楽しかった、ハクビシンとの一夏の思い出です。